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この度Kingston Technology「サンプリングでアリガストン」キャンペーンにて選んで頂きまして有難うございます。
レビュー第一弾として、HyperX LoVoシリーズ「KHX1600C9D3LK2/4GX」をレビューします。
外観と仕様
緑色の背が低いヒートスプレッダに覆われ、スプレッダ自体の質量が少ないので結構軽いです。
まずスペックを知る為にGIGABYTE GA-H55M-USB3に装着。
基本SPD情報の他、XMP Profileが2種類書き込まれています。
左からDefault / Profile1 / Profile2
動作クロック:1333 / 1600 / 1333
DRAM電圧:1.5V / 1.35V / 1.25V
QPI/VTT電圧:1.1V / 1.3V / 1.1V
tCL:9 / 9 / 9
tRCD:9 / 9 / 9
tRP:9 / 9 / 9
tRAS:24 / 27 / 24
tRC:33 / 36 / 33
tRRD:4 / 5 / 4
tWTR:5 / 6 / 5
tWR:10 / 12 / 10
tWTP:21 / 23 / 21
tWL:7 / 7 / 7
tRFC:74 / 88 / 74
tRTP:5 / 6 / 5
tFAW:20 / 24 / 20
CR:1 / 1 / 1
XMPの両方とも電圧調整のみで、各タイミング設定は基準レイテンシに忠実です。
一点、Profile1のtRAS(とその影響でtRC)が若干緩められているのは少々気になります。
また、低電圧仕様であるにも拘らず、Profile1ではQPI/VTT電圧が上げられているのも注目点です。
しかし、検証に使用した環境での上記電圧の実測値は1.205V、おそらく1.2Vを指定してきたものと思われます。
実害はあまり無いものの、ちょっと気に障ります。
その他の自動電圧設定は指定通りとなっていました。
動作検証
CPUはintel Core i7 860、M/Bはmsi P55-GD80。
電圧表示は、デジタルマルチメーターによる実測値です。
検証方法はmemtest86+ v4.10にて、各電圧毎にtCLを基準とし、動作速度限界とその時点の他のタイミング設定を詰めていきます。
今回テストを急いでいたので、全て1pass通過しか行っていません。
QPI/VTT電圧は1.205V固定。
室温は25~29℃、メモリー表面温度は大体31~37℃です。
表記は左から、DDR換算クロック tCL-tRCD-tRP-tRAS-tRFC
その他のタイミング設定は、CR=1T
tWR=12T(≦1,800MHz)/15T(>1,800MHz)
tRTP=5T(≦1,800MHz)/6T(>1,800MHz)
tRRD=4T(≦1,800MHz)/5T(>1,800MHz)
tWTR=5T(≦1,800MHz)/6T(>1,800MHz)
tFAW=20T(≦1,800MHz)/25T(>1,800MHz)
としています。
1.654V
DDR-2,178MHz 9-11-9-27-82
DDR-1,999MHz 7-10-9-24-76
DDR-1,759MHz 6-9-7-22-67
1.533V
DDR-2,178MHz 10-11-10-28-86
DDR-1,998MHz 9-10-9-26-79
DDR-1,815MHz 8-9-8-23-72
DDR-1,605MHz 7-8-7-21-64
1.371V
DDR-1,939MHz 11-11-11-28-89
DDR-1,879MHz 10-10-10-26-85
DDR-1,715MHz 9-9-9-24-77
DDR-1,546MHz 8-8-8-22-69
1.223V
DDR-1,546MHz 10-10-10-25-81
DDR-1,404MHz 9-9-9-23-74
各設定でのSandra2010のメモリー帯域&レイテンシテスト
memtestを回した感触では、非常にクセの強いメモリーだと感じました。特に1.654V時。
まず、tRCDが電圧にちっとも反応しないこと。
電圧を入れても全然下げることができません。
また、1.654Vでは異様な程tCL耐性が一定ラインで良くなりますが、tCL=8が何故か使い物にならず。
tCL=7,6で実際に利用するにはQPI/VTT電圧をもっと入れる必要がありますが、DDR3-2000@CL7、と言ったらかなりのインパクトです。
また、1.654V時にはVTT電圧設定が壁を作ってしまっています。
VTTを1.3Vにまで引き上げた場合はボトルネックが解消され、以下の結果になりました。
DDR-2,274MHz 10-11-9-27-86
DDR-2,226MHz 9-11-9-27-84
1.371V時は非常に素直な反応をしてくれて、特に1.371V時のMAXクロック設定ではtCL基準のテストであるにも関わらず、tRCDやtRPも11にしなければエラーを吐く状況だったので、レイテンシ耐性が非常に綺麗に揃っている印象です。
しかし電圧に対する反応は大きく、美味しく動作するのは低電圧時よりも寧ろ1.5V付近にありそうな感じです。
1.223Vでは一気にマージンが減り、MAXクロック耐性もガクンと落ちています。
電源が完全に落ちる状態での再起動ではPOSTで引っかかる事も度々あります。
更に一つ下の1.15VではDRAMの初期化に失敗するのかPOST通過どころかCMOSオートリセットすらできませんでした。
Sandraは1.654Vの各設定にて。
基本的にCPUクロックに引っ張られる形になるので、一応参考値としてtCLを変化させた際の影響を載せました。
その場合、レイテンシテストにおいては約2nsもの差が発生している一方、帯域に対する影響はそこまで大きくありません。
大抵の場合、レイテンシよりも動作クロックを重視した方が効果は判り易いでしょう。
DRAM電圧の消費電力への影響
低電圧メモリーという事で、メモリー電圧に対する電力消費の低減効果がどれほどあるのか、軽くチェック。
設定は1.223VのCL9時の物を使用し、DRAM電圧だけを変えてみます。
測定はアイドル安定時のワットチェッカー読み。
1.223V:118W(55%)
1.371V:119W(69%)
1.533V:120W(86%)
1.654V:121W
綺麗な数字になりました。
括弧内の割合は、1.654Vを基準とした時の消費電力の理論値になります。
電源の変換ロスト分も含めて、1.654V時に7W程度と見れば計算が合うことになりそうです。
一発芸
CPU-Zのバリデーション通過を基準としたハイクロックに挑戦してみます。
DRAM電圧を1.7V、QPI/VTT電圧を1.3Vとし、まず1.654V時の設定からtRFCを+4して挑戦。
>DDR-2,322MHz
tCLやtRCDが怪しいかもと思い、10-12-10-30-92にまで緩めてみます。
結果:DDR-2,358MHz
クロック耐性が1.53Vで止まっている事を考えれば、頑張って背伸びしてくれたかなと言う感じでしょうか。
総評
低電圧メモリーと言うとGeILのGreenシリーズが手元にあるのですが、こちらは正真正銘低電圧動作を推奨し、一般的な電圧に設定する旨みは全くありませんでした。
しかしこちらは電圧を上げていってもきちんと反応してくれるため、低電圧でなくとも使えるメモリーとなっています。
その反応は今まで触ってきたどのメモリーよりも曲者で調整は結構大変でしたが、素直にOCメモリーとしても受け入れられる結果が得られて満足しています。
一方で低電圧動作でのマージンが予想外に少ないのが気になります。
1.25Vのラインを割り込む設定は推奨しません。
通常は1.35~1.5V、挑戦的な設定にしたい場合は1.6V以上入れるつもりで運用するのがベターではないか、と結論付けます。
価格は158ドル、実売14,000円台なので、DDR3-2000オーバーを必要としない人であれば幅広く使えるので、低電圧関係なしにお買い得かもしれません。
雑記
2週間と言う時間制限があったので、大急ぎでした。
土曜の夕方に到着し、そこから27時間耐久memtestマラソン。
予定としては次の週末前に第二弾をお届けしたいと思っています。
ついでに、寝てる間に1.223Vでmemtestを8pass回した際の写真も。